プロンプトエンジニアリング

AIをうまく使うためのプロンプトのテクニック

2025年2月22日

はじめに

AIを使う機会は増えてきましたが、思い通りの回答を得られないという話をよく聞きます。AIに思い通りの回答をしてもらうためには、実はテクニックが必要です。本記事では、効果的なプロンプトの作成テクニックを紹介します。

AIに意図した回答を引き出すためのテクニック

AIから適切な回答を得るためには、プロンプトの工夫が重要です。以下のテクニックを活用することで、より精度の高い回答を得ることができます。

1. 役割を指定する

AIに特定の役割を持たせることで、回答の精度が向上します。

良い例 「あなたはプロジェクトマネジメントの専門家です。プロジェクトのリスク管理について説明してください。」

悪い例 「プロジェクトのリスク管理について教えて。」(役割が明確でなく、一般的すぎる)

2. 具体的なフォーマットを指定する

出力の形式を指定することで、整理された情報を得られます。

良い例 「プロジェクトのリスクを3つ挙げ、それぞれを箇条書きで説明してください。」

悪い例 「プロジェクトのリスクと対策について教えて。」(回答の構造が曖昧になる可能性がある)

3. 明確な制約を設定する

情報量や専門用語の使用について制約を設けることで、意図に沿った回答を得やすくなります。

良い例 「初心者向けに専門用語を使わずに300文字以内で説明してください。」「小学生にも分かるように説明して下さい。」

悪い例 「簡単に説明してください。」(簡単の基準が不明確で、意図が伝わりにくい)

4. 例を提示する

期待する出力の例を示すことで、モデルの回答精度を向上させられます。

良い例 「以下のフォーマットに従って回答してください。」

悪い例 「わかりやすく説明してください。」(どのようにわかりやすくすればいいのか不明確)

5. ステップ・バイ・ステップで考えさせる

論理的な順序を指示することで、体系的な回答を得られます。

良い例
「この問題について、以下の手順で考えてください。
  1. 前提条件を確認する
  2. 問題を細かく分解する
  3. 各要素の影響を分析する
  4. 最適な解決策を提案する

悪い例 「この問題について考えてください。」(考え方の順序が指示されておらず、回答がばらつく可能性がある)

6. 連続的に質問して調整する

初回の回答を確認しながら、追加の情報を提供し改善を繰り返します。

良い例

  1. 「プロジェクトの遅延リスクについて教えてください。」
  2. 「技術的な問題に特化して、遅延リスクを3つ挙げてください。」
  3. 「遅延リスクごとに、解決策を1つずつ具体的に説明してください。」

悪い例 「プロジェクトの遅延リスクとその対策をすべて教えてください。」(漠然としすぎており、焦点が定まらない)

7. 背景情報の提供

必要な背景情報を提供します。提案書作成を依頼するなら「顧客の情報」を入力します。添付ファイルなどで与えることもできます。

具体例

以下、2つの例を示します。

例1. マーケティング用の3C分析

この例では、役割の指定(戦略コンサルタント)背景情報の提供(顧客の情報のPDFファイル)明確なタスク定義(3C分析と戦略立案)具体的な出力フォーマットの指示を組み合わせています。

このプロンプトを実行するときに顧客情報をPDF添付ファイルで与えます。

あなたは優秀な戦略コンサルタントです。  
添付のPDFファイルには、決算説明会資料およびいくつかの市場・競合レポートが含まれています。  
これらの資料を分析し、3C分析(顧客・自社・競合)を行ってください。  
その結果を基に、企業の成長戦略を立案してください。  

【出力フォーマット】  
### 1. 3C分析  
#### 顧客(Customer)  
- 市場の特徴  
- 顧客ニーズ・購買行動の傾向  
- 現在の課題と求められるソリューション  

#### 自社(Company)  
- 企業の強み・弱み  
- 競争優位性  
- 現在の事業課題  

#### 競合(Competitor)  
- 主要競合の動向  
- 競争上の脅威・機会  
- 競争戦略の特徴  

### 2. 戦略立案  
- 3C分析に基づく主要な戦略の方向性  
- 競争優位を築くための戦略(差別化戦略・コストリーダーシップ戦略など)  
- 短期・中長期での施策(市場開拓、新規事業、既存事業の強化 など)  

**制約条件:**  
- 分析結果はできるだけ具体的なデータに基づいて説明すること。  
- 戦略提案は実行可能性を考慮し、具体的な施策レベルまで落とし込むこと。  
- 記述は分かりやすく簡潔にまとめること。  

こんな感じのプロンプトを書くことにより、整った分析結果を得られる可能性が高くなります。

例2. ストレス管理の相談アシスタント

【あなたの役割】  
- あなたは優秀な心理療法士です。  
- ユーザーは仕事の忙しさからストレスを感じることが多く、リラックス法や時間管理のアドバイスを求めています。  
- 気軽に話せる相談相手として、リラックスできる会話を提供してください。  

【回答のルール】  
1. 言葉のトーン → 優しく、共感を持った対応  
2. 回答の長さ → 簡潔に伝えつつ、希望があれば詳細も説明  
3. 記憶の代替 → 「ユーザーの悩みの傾向」を考慮し、過去のやりとりと矛盾しないように  
4. 具体的な提案 → 気分転換の方法、ストレスを減らす工夫など、実践的なアイデアを提示  
5. 深刻な相談の場合 → 必要に応じて専門家のサポートを提案  

【ユーザの情報】
- システムエンジニアです
- 管理職ではありません。
- 中堅クラスです。
- プログラムを書いたり、環境構築、調査など技術的なことをするのは比較的得意です。
- 中堅なのでプロジェクトのリーダーを任されることもあります。
- プロジェクトのリーダーはあまり得意ではありません。
- また、新しい仕事の企画をするような仕事も得意ではありません。
- ストレスや不安を感じやすい傾向があります

以上の情報に従って、私の悩みを聞いてください。

この後に、悩みを入力してアドバイスを求めます。

具体例はこんな感じになります。

最近、プロジェクトのリーダーを任されました。プロジェクトは、始まったばかりですが、期限が守れるか不安です。

ヒント

プロンプトの作成が難しいと感じる場合は、AIにプロンプトを作ってもらうといいと思います。

まとめ

AIを活用する際、プロンプトが回答の質を左右します。役割やフォーマットを指定し、段階的に情報を提供することで、意図に沿った回答を得ることができます。コツとしては、新人に物事を教えるようなつもりで、丁寧に必要な情報を伝えることです。適切なプロンプト作成を行うことで、より有益なAIの活用が可能になります。

毎回、同じことを入力するのが面倒な場合、以下のマイGPTの記事をご参照ください。

マイGPTの活用ガイド ~自分用にカスタマイズされたAIを作ろう~

AIAI,ChatGPT,Prompt Engineering

Posted by ikubo