
AIをうまく使うためのプロンプトのテクニック
はじめに
AIを使う機会は増えてきましたが、思い通りの回答を得られないという話をよく聞きます。AIに思い通りの回答をしてもらうためには、実はテクニックが必要です。本記事では、効果的なプロンプトの作成テクニックを紹介します。
AIに意図した回答を引き出すためのテクニック
AIから適切な回答を得るためには、プロンプトの工夫が重要です。以下のテクニックを活用することで、より精度の高い回答を得ることができます。
1. 役割を指定する
AIに特定の役割を持たせることで、回答の精度が向上します。
良い例 「あなたはプロジェクトマネジメントの専門家です。プロジェクトのリスク管理について説明してください。」
悪い例 「プロジェクトのリスク管理について教えて。」(役割が明確でなく、一般的すぎる)
2. 具体的なフォーマットを指定する
出力の形式を指定することで、整理された情報を得られます。
良い例 「プロジェクトのリスクを3つ挙げ、それぞれを箇条書きで説明してください。」
悪い例 「プロジェクトのリスクと対策について教えて。」(回答の構造が曖昧になる可能性がある)
3. 明確な制約を設定する
情報量や専門用語の使用について制約を設けることで、意図に沿った回答を得やすくなります。
良い例 「初心者向けに専門用語を使わずに300文字以内で説明してください。」「小学生にも分かるように説明して下さい。」
悪い例 「簡単に説明してください。」(簡単の基準が不明確で、意図が伝わりにくい)
4. 例を提示する
期待する出力の例を示すことで、モデルの回答精度を向上させられます。
良い例 「以下のフォーマットに従って回答してください。」
悪い例 「わかりやすく説明してください。」(どのようにわかりやすくすればいいのか不明確)
5. ステップ・バイ・ステップで考えさせる
論理的な順序を指示することで、体系的な回答を得られます。
良い例
「この問題について、以下の手順で考えてください。
1. 前提条件を確認する
2. 問題を細かく分解する
3. 各要素の影響を分析する
4. 最適な解決策を提案する
」
悪い例 「この問題について考えてください。」(考え方の順序が指示されておらず、回答がばらつく可能性がある)
6. 連続的に質問して調整する
初回の回答を確認しながら、追加の情報を提供し改善を繰り返します。
良い例
- 「プロジェクトの遅延リスクについて教えてください。」
- 「技術的な問題に特化して、遅延リスクを3つ挙げてください。」
- 「遅延リスクごとに、解決策を1つずつ具体的に説明してください。」
悪い例 「プロジェクトの遅延リスクとその対策をすべて教えてください。」(漠然としすぎており、焦点が定まらない)
7. 背景情報の提供
必要な背景情報を提供します。提案書作成を依頼するなら「顧客の情報」を入力します。添付ファイルなどで与えることもできます。
具体例
以下、2つの例を示します。
例1. マーケティング用の3C分析
この例では、役割の指定(戦略コンサルタント)、背景情報の提供(顧客の情報のPDFファイル)、明確なタスク定義(3C分析と戦略立案)、具体的な出力フォーマットの指示を組み合わせています。
このプロンプトを実行するときに顧客情報をPDF添付ファイルで与えます。
あなたは優秀な戦略コンサルタントです。
添付のPDFファイルには、決算説明会資料およびいくつかの市場・競合レポートが含まれています。
これらの資料を分析し、3C分析(顧客・自社・競合)を行ってください。
その結果を基に、企業の成長戦略を立案してください。
【出力フォーマット】
### 1. 3C分析
#### 顧客(Customer)
- 市場の特徴
- 顧客ニーズ・購買行動の傾向
- 現在の課題と求められるソリューション
#### 自社(Company)
- 企業の強み・弱み
- 競争優位性
- 現在の事業課題
#### 競合(Competitor)
- 主要競合の動向
- 競争上の脅威・機会
- 競争戦略の特徴
### 2. 戦略立案
- 3C分析に基づく主要な戦略の方向性
- 競争優位を築くための戦略(差別化戦略・コストリーダーシップ戦略など)
- 短期・中長期での施策(市場開拓、新規事業、既存事業の強化 など)
**制約条件:**
- 分析結果はできるだけ具体的なデータに基づいて説明すること。
- 戦略提案は実行可能性を考慮し、具体的な施策レベルまで落とし込むこと。
- 記述は分かりやすく簡潔にまとめること。
こんな感じのプロンプトを書くことにより、整った分析結果を得られる可能性が高くなります。
例2. ストレス管理の相談アシスタント
【あなたの役割】
- あなたは優秀な心理療法士です。
- ユーザーは仕事の忙しさからストレスを感じることが多く、リラックス法や時間管理のアドバイスを求めています。
- 気軽に話せる相談相手として、リラックスできる会話を提供してください。
【回答のルール】
1. 言葉のトーン → 優しく、共感を持った対応
2. 回答の長さ → 簡潔に伝えつつ、希望があれば詳細も説明
3. 記憶の代替 → 「ユーザーの悩みの傾向」を考慮し、過去のやりとりと矛盾しないように
4. 具体的な提案 → 気分転換の方法、ストレスを減らす工夫など、実践的なアイデアを提示
5. 深刻な相談の場合 → 必要に応じて専門家のサポートを提案
【ユーザの情報】
- システムエンジニアです
- 管理職ではありません。
- 中堅クラスです。
- プログラムを書いたり、環境構築、調査など技術的なことをするのは比較的得意です。
- 中堅なのでプロジェクトのリーダーを任されることもあります。
- プロジェクトのリーダーはあまり得意ではありません。
- また、新しい仕事の企画をするような仕事も得意ではありません。
- ストレスや不安を感じやすい傾向があります
以上の情報に従って、私の悩みを聞いてください。
この後に、悩みを入力してアドバイスを求めます。
具体例はこんな感じになります。
最近、プロジェクトのリーダーを任されました。プロジェクトは、始まったばかりですが、期限が守れるか不安です。
ヒント
プロンプトの作成が難しいと感じる場合は、AIにプロンプトを作ってもらうといいと思います。
まとめ
AIを活用する際、プロンプトが回答の質を左右します。役割やフォーマットを指定し、段階的に情報を提供することで、意図に沿った回答を得ることができます。コツとしては、新人に物事を教えるようなつもりで、丁寧に必要な情報を伝えることです。適切なプロンプト作成を行うことで、より有益なAIの活用が可能になります。
毎回、同じことを入力するのが面倒な場合、以下のマイGPTの記事をご参照ください。