※ 過去の情報が誤っていて申し訳ございません。訂正いたしました。
※ 加えて、2025年5月以降はデータが保持されている可能性があります。詳細は後述。
近年、AI の活用が進む中で、プライバシーに関する関心も高まっています。特に、ChatGPT などの AI チャットボットを利用する際に「会話内容は AI に学習されるのか?」と不安を抱く方も多いのではないでしょうか?
この記事では、OpenAI の ChatGPT が会話データをどのように扱うのか、また、会話データをAIに学習させない設定について解説します。
先に結論を書いておくと以下の通りです。
- 個人プランの場合、設定を変えないと学習に使用される
- ChatGPT 無料/Plus/Proは、初期状態では会話の内容やファイルをAIの学習に使用する
- 学習に使われないようにするためには、設定変更が必要である
- Team/Enterprise プランでは、デフォルトではAIの学習に利用されない
- API は、デフォルトではAIの学習に利用されない
- 設定を変えても、個人情報や機密情報は入力しないのが安全
- 設定に関わらず、悪用監視の目的としてデータは最大30日間保持され、人がレビューすることがある
- 2025年5月の米国連邦裁判所命令のため、おそらく30日を超えてデータを保持している
- 学習に使うわけではない
- 法的義務を果たすために必要な場合にのみ使用するとのこと
ChatGPT は会話の内容を学習するのか?
結論から言うと、個人プラン(無料/Plus/Pro)の場合、設定を変更しないとChatGPT はユーザーとの会話内容を自動的に学習に使用します。企業向けプラン(Team/Enterprise)では、デフォルトは学習に使用しない設定になっています。API もデフォルトは学習に使用しない設定になっています。
学習に使用するというのは、プロンプトやモデルの応答を含む会話コンテンツが、OpenAIによって言語モデルのパフォーマンスと能力を向上させるために利用されることを意味します。つまり、自分が書いた内容が、将来のAIの回答として表示される可能性があるということです。さらに、このAIの改善プロセスの一環として、OpenAIの人間によるトレーナーがユーザーの会話をレビューする場合があるそうです。
AIによる学習は、後述の設定変更により、止めることが可能です。ただし、設定を変えても注意が必要です。
OpenAIは、不正使用や誤用の監視を目的としてデータは最大30日間保持し、限られた数のOpenAIの正規職員および機密保持義務を負う信頼できるサービスプロバイダーがデータにアクセスできるとしています。つまり、設定を変更しても、人に見られる可能性があるということが明示されています。
一時チャット
一時チャットは、OpenAIのモデルのトレーニングには利用されない、チャット履歴には保存されない、AIの「記憶」を作成しないという特徴があります。
ただし、こちらも、悪用監視のためにのみレビューされる可能性があるとのことなので、機密情報や個人情報は入れないようにしましょう。
最近の裁判所命令(2025年5月以降)
2025年5月に、米国連邦裁判所がOpenAIに対し、全てのChatGPTユーザー会話を無期限に保持するよう命令を下しました 。この命令は極めて広範であり、ユーザーが明示的に削除しようとした会話や、「一時チャット」モードで行われた会話にまで及びます 。
背景は、OpenAIが新聞社のコンテンツを無許可でAIモデルのトレーニングに利用したと主張され、裁判所が訴訟のための証拠を保全するためにデータ保持を命じたとのことです。
OpenAIは2025年6月3日に命令を控訴していますが、控訴中であるにもかかわらず、OpenAIは命令に従い、義務付けられたデータを法的な保留の下で別の安全なシステムに保持し、法的義務を果たすために必要な場合にのみアクセスできるようにする対応をしているようです。
ユーザーへの影響と例外
- プライバシーへの懸念: この命令により、ユーザーがChatGPTに入力した個人情報、健康関連情報、法律関連情報、財務情報などの機密情報が、トレーニング設定に関わらず、長期的に保存され、法的手続きの一環としてアクセスされる可能性が生じます。
- GDPRへの影響: 欧州連合のGDPR(一般データ保護規則)に基づくユーザーの「消去権」(GDPR第17条第3項b)は、データ保持の法的義務が優先されるため、一時的に停止されます。OpenAIは、命令が解除または解決され次第、標準的な削除慣行を再開する意向を表明しています。
- ゼロデータ保持(ZDR)の例外: この裁判所命令は、ゼロデータ保持(ZDR)APIエンドポイントには影響しません 。ZDRが要求される対象となるAPIのユースケースでは、入力と出力はOpenAIによって保持されません。
この状況は、AI開発(データ必要性)、ユーザープライバシー(コントロールへの欲求)、および法的・規制機関(説明責任と証拠の要求)の利害が絶えず衝突していることを示しています。
AIの学習設定の変更
記事作成時の情報なので、ボタンの配置などが変わる可能性があります。
アカウントのアイコンを選択

「設定」を選択

左のリストから「データ コントロール」を選択。
「すべての人のためにモデルを改善する」が「オフ」になっていれば問題なし。
「オン」になっている場合は、> マークを選択して次に進む。

以下のように設定して、「実行する」ボタンを押す。

前の画面に戻った後、「オフ」になっていることを確認する。
ChatGPT を安全に利用するためのポイント
- 個人情報を入力しない
- たとえ ChatGPT がデータを学習しないとしても、個人情報(氏名、住所、電話番号、パスワードなど)は入力しないようにしましょう
- 機密情報は入力しない
- 会社の機密情報やプロジェクトの詳細など、外部に漏れてはいけない情報は ChatGPT に入力しないのがベストです
- 発表前の論文もNGです
データを学習しない場合設定でも、ログとして一定期間保存し、トラブルがあった場合などに人が見ることがあることが明示されています。なので、オプトアウト(拒否)設定をしていても重要な情報は入れないようにしましょう。
まとめ
- ChatGPT は、初期状態では、会話の内容を学習に使用します
- 設定を変更しても、個人情報や機密情報は入力しない
AI の進化に伴い、プライバシー対策も重要になっています。ChatGPT を活用しながら、安心して利用できるように、データの取り扱いについて理解を深めておきましょう!